2022年11月30日にリリースされた対話型AI「ChatGPT」。リリースからたったの二か月で利用者数は1億人を突破し、史上最速で成長したアプリケーションとなりました(Facebookは4年半かかっています)。
今年の2月には、ブラウザにChatGPTが組み込まれた「新しいBing」、3月には従来よりも格段に性能が上がった「GPT-4」が登場。ChatGPT関連のニュースが連日取り上げられ、Twitterには「ChatGPTの面白い回答」が沢山投稿されました。
ChatGPTは、ITに関わる人だけでなく、老若男女多くのユーザーが利用するツールとなりました。
リリースから半年以上経ち、ChatGPT人気はどうなったのでしょうか?
いまだにChatGPTは活用されているのでしょうか?
この記事を書こうと思ったきっかけ
当ブログでは、ChatGPTに関する様々な記事を投稿してきましたが、一時期に比べるとそこまでアクセスが多くないです。特に、Web版のChatGPTに関する記事が見られなくなってきたなーという印象。
そこで、最近の人気はどうなのか?利用者が減っているとすれば、その原因は何なのか?などを、実際の利用者数の推移やネットの声などをもとに調査したいと思いました。
数字で見るChatGPTのいま
では早速、ChatGPTに関するデータを見ていきます。
日本におけるChatGPT利用者の推移
以下は、野村総合研究所の調査結果「日本のChatGPT利用動向(2023年4月時点)」です。
グラフを見ると、4/14の746万セッションがピークとなっており、その後はやや減少しています。
Googleトレンドの推移
次に、Googleトレンドの推移を見てみます。Googleトレンドは、キーワードの検索件数の推移が分かる無料のツールです。
一番人気度が高まったのは、2023/04/11。
先ほどの利用者推移では、4/14にセッションがピークとなっていましたので、話題になったあとにChatGPTを始めた人がある程度いることが分かります。
世界の動向
同じ期間の世界の動向は以下になります。
若干減少傾向にあるものの、日本ほど極端な減少ではありませんでした。
「ChatGPT 飽きた」の検索ボリューム推移
以下は、「ChatGPT 飽きた」と検索された数の推移です。(使用ツール:Googleキーワードプランナー)
期間 | 月間平均検索ボリューム(件) | 備考 |
---|---|---|
2022/12月-1月 | 0~10 | |
2023/1月-2月 | 0~10 | 2/7 新しいBingリリース |
2023/2月-3月 | 10~100 | 3/21 Bardリリース |
2023/3月-4月 | 10~100 | |
2023/4月-5月 | 100~1000 |
Twitterのツイートでも、「ChatGPT飽きた」という声が見られ、Yahoo!リアルタイム検索ではサジェストにも表示されていました。
ただ、そのような発言が見られるということは、まだ存在までは忘れられた訳ではないとも言えます。さらには、ChatGPTに「飽きる」ということは、何か必要なときに活用するというのではなく、ひとつのコンテンツとして楽しんでいたライトな層がけっこういることがうかがえます。
上記から推察するChatGPT利用者数減少の原因
利用者数の推移や、Googleトレンドからも分かる通り、ChatGPTブームはピークを越えたことが分かります。では、ChatGPT利用者数減少の原因は何なのでしょうか。
ChatGPT API試用期間の終了
ChatGPTのAPIは、当初18ドル分の無料クレジットが付与されていました。しかし、登録後一定期間を過ぎると試用期間は終了し、以後有料版に移行しない限りAPIが実行できなくなります。
ChatGPTのAPIは2023年3月1日にリリースされました。その時点で利用を開始した方は、既に試用期間が終了しているかと思います。こちらの記事にて、LINE上でChatGPTを使う方法を紹介しましたが、そのコメントで「突然API通信に失敗するようになった!」という声を多くいただきました。
私は有料版に移行していたため気づくことができませんでした・・・。ネットで調べてもなかなか情報が出てこないので、急にAPIが使えなくなったということで使用をやめてしまった方もいらっしゃると思います。
「新しいBing」「Bard」等の台頭
Microsoft社の「新しいBing」や、Googleの対話型AIである「Bard」など、次々とAIチャットが登場しています。
厳密にいうと、新しいBingはChatGPTがブラウザに搭載されたものでありますが、「純粋にWeb版のChatGPTをメインに使っている人」はこれらの台頭により減少し、ユーザーが分散したのではないかと思います。
ChatGPTをエンタメとして楽しんでいたライトな層が飽きた
こちらは先ほども少し触れましたが、ライトな層が飽きたというのが大きいのではないでしょうか。一時期は「ChatGPTに質問したらこんな答えが返ってきた!」とTwitterなどで盛り上がっていました。このとき、
- ドラえもんをテーマにポエムを作って
- たいやきは頭と尻尾、どちらから食べるべき?
など、エンタメ的な質問をしているケースが多く見られました。
必要だから使うというのではなく、面白いから使うという目的だと飽きてしまうのは自然な流れかと思います。
ChatGPTはもうオワコンなの!?
ここまで、ChatGPTのブームは過ぎた、利用者は減少傾向にあるという話をしてきました。では、ChatGPTはこのまま利用者が減少し続けてしまうのでしょうか?
仕事やサービスに活用されるChatGPT
ChatGPTのピークは過ぎたとはいえ、沢山のユーザーが利用していることには変わりありません。ChatGPTのAPIを使った様々なサービスは次々とリリースされていますし、企業や教育現場への導入などが進んでいます。つまり、よりコアな利用者が増えてきているということが分かります。
ChatGPTを使っていることが表面化していないケースも
「ウチの社員はChatGPTとか使ってないから」
・・・実は提出された資料、すべてChatGPTが作ったものかもしれませんよ!?
Yahoo!ニュースによると、米国ではChatGPTがシャドーIT(従業員が使うIT機器やサービスのうち、企業側は把握していないもの)化しているということです。
ChatGPTが公開されて以来、ナレッジワーカーの9.3%が職場で少なくとも一度はChatGPTの使用を試み、そのうち7.5%がデータを貼り付けたことがあるとの調査結果が明らかになりました。
また、ChatGPTに入力されたデータのうち4.0%の社員が少なくとも1回は機密データをChatGPTに貼り付けようとしたとあります。
ChatGPT利用動向調査。シャドーIT化するChatGPT
https://news.yahoo.co.jp/byline/ohmototakashi/20230528-00351336
ChatGPTに機密情報や社外秘のソースコードなどを貼り付けるのはアウトだというのは認識している方が多いと思います。
しかし、プレゼン資料をChatGPTに生成させるとか、新規でソースコードを生成させてそれをコピペして使うなどはどうでしょうか。ChatGPTが生成したかどうかなんて100%断定することはできませんし、そもそもChatGPTが生成したものは作成者の著作物とみなされるわけですから、何も悪いことではありません。
表面上ではあたかも自分が作り上げたように振舞っている場合でも、実はChatGPTにおんぶにだっこかもしれない。それを見抜くのはとても難しく、実は思っている以上に私たちの周りにはChatGPTの生成物が存在しているのかもしれません。
我々にとってChatGPTはどんな存在となったのか
つまり、ChatGPTは、
- エンタメとしてのChatGPTブームは終了
- ライトな層が離脱したものの、職場や教育現場など利用の幅は広がっている
- 困ったときに使うひとつのツールとして確立し、わたしたちの暮らしに当たり前の存在となりつつある
翻訳アプリやマップのように当たり前のように存在するもの。なので、あえて取り上げるものではもうない。という位置づけに多くの人のなかでなってきているんじゃないかと思いました。
まとめ
今回は、ChatGPTの利用者推移をもとに、ChatGPTは現在どのくらい使われているのかを考察しました。
なんとなく、一時期よりはChatGPTの話題少なくなったなぁという体感はありましたが、こうして改めて調べてみて、単にブームが終わってオワコン化したわけではないことが分かりました。今後もセッション数こそは減少するかもしれませんが、ChatGPTはいちツールとして幅広い場所で使われることでしょう。
それにしても、「ChatGPT Plus」、もう少し安くなりませんかね!!!
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