本日(2023年3月15日)、ChatGPTの開発元であるOpenAIは、次世代の言語モデル「GPT-4」を発表しました。従来のモデルであるGPT-3.5と比較して、対応できる単語数が約8倍に増え、事実に基づく回答である確率が40%高まりました。また、サイバーセキュリティや医療などの専門家が評価を繰り返し、安全性も向上しています。
本記事では、
- GPT-4でできること
- GPT-4の料金
- GPT-4の使い方
これらについて、「これからChatGPTを使ってみようかな・・・!」と考えている人にも分かるように詳しく説明していきます。
GPT-4でできるようになったこと
GPT-4では、新たにできるようになったことが大きく分けて4つあります。
【ChatGPT Plus限定】ファイルのアップロード機能
2023年7月、ChatGPT Plus(有料版)のユーザー向けに「Code Interpreter」というファイルのアップロード機能が追加されました。アップロードしたPDFやcsvファイルの内容を解釈し、グラフの作成やデータ解析を行うことができます。
以下は、Florida State Universityが公開しているcsvファイルを使用して本機能を試したものです。
csvファイルを添付して、指示を出すことで以下のようなグラフを作成してくれました。
画像での質問
GPT-4は、画像での入力に対応しています。以下はChatGPTのデモになりますが、ユーザーが「糸が切れたらどうなる?」と質問すると、ChatGPTは「風船が飛んでいきます」と回答しています。
写真、図表、スクリーンショットなどについて、「何についての写真なのか」「どんな状況なのか」を認識することができます。これを応用すれば、冷蔵庫の中の写真を送ると献立を考えてくれたり、色覚異常のある方が「この2つの服のうち、どっちが赤色?」と送ればその答えを教えてくれたりと、利用の幅が格段に広がりそうです。
入力・応答文字数が2,500文字から25,000文字に
ChatGPTで入力・応答できる文字数は、これまでは2,500文字程度でした。ChatGPTからの応答が途切れるたびに、「続き書いて」と命令する必要がありました。
GPT-4ではこれが10倍の25,000文字まで拡大しています。
苦手分野だったクリエイティブな質問に対応
ChatGPTは言語モデルをベースにしているため、創造性や推論が必要な質問を苦手としていますが、GPT-4ではこれらの分野についての質問の応答精度が上がっています。
例えば、「あ」から「お」までを順に使って、おもしろい文章を書いてと命令したとき、GPT-3での回答は以下になりました。
途中から何がなんだか意味が分かりませんね。
同じ質問をGPT-4にした結果が以下です。
あいうえおを使って文章を作ることができています。
他にも、作詞・作曲、脚本作成、ユーザーの文体を学習して真似するなどのクリエイティブな分野が強化されています。
GPT-4を使うにはどうすればよいか
GPT-4を使う方法は2種類あります。
- GPT-4をAPIで使う
- Web版のChatGPTを有料プランにする
以降で、それぞれについて詳しく解説します。
GPT-4 APIを使う方法
GPT-4のAPIを使う方法を解説します。
GPT-4 APIとは
APIというのは、ChatGPTを外部アプリやソフトから使えるようにする仕組みのことです。APIを使うことで、PythonやGASなどのプログラムからChatGPTを呼び出すことができるようになります。現在は「gpt-3.5-turbo」というモデルが高性能であり、ChatGPTのAPIにも採用されていますが、GPT-4はそれよりも高性能なモデルになります。
料金は?
GPT-4 APIは、一定の使用量までは無料です。
GPT-4をAPIで使う場合は、デフォルトでは体験版となっており、18ドル分(日本円で2445.21円)のクレジットが付与されています。18ドルを超えると、その後は重量課金制となり、定額プランはありません。ChatGPTのAPIを利用する手順については、以下をご参照ください。
GPT-4 APIを使うには順番待ちが必要
GPT4 APIを使うには、waitlistへの登録が必要です。
GPT-4 API waitlist を開き、必須項目を入力します。
- First name:名前
- Last name:苗字
- Email :メールアドレス
- Organization ID:Organization Settingsの「Organization ID」
- How do you primarily plan to use GPT-4?:ChatGPTの使用用途。私は「General exploration of capabilities(能力の一般的な探求)」にしておきました。
- Are there specific ideas you’re excited to build with GPT-4?:ChatGPTで作りたい具体的なアイディア。私は自分がやりたいことを適当に入れておきましたが、特に目的が決まっていない場合は「GPT-4を試してみたいため」みたいな感じでも良いと思います。
Web版のGPT-4を使う方法
Web版のGPT-4を使う方法を紹介します。
Web版のChatGPTとは
Web版は、Google ChromeやBingなどのブラウザから使うことのできるChatGPTをさします。
料金は?
Web版のChatGPTでGPT-4を試すには、有料プランである必要があります。有料プランは月額2400円で利用可能です。
ChatGPTを開き、チャット画面左側にあるメニューから「Upgrade to Plus」を選択すると以下のモーダルが表示されますので「Upgrate plan」を押します。
Web版は登録後すぐにGPT-4の機能を使える
登録が完了すると、チャット画面上部にモデルの選択プルダウンが表示されます。
今までと同じように質問できます。
モデルはスレッドごとに使い分けることができます。
3/15現在、GPT-4は機能の制限がある
2023/03/15現在、GPT-4の利用には制限があります。
(2023/03/15追記) 画像での質問・25,000文字程度の質問はまだできません。4/10にOpenAIのCEOが来日し、「画像質問機能などの機能を日本に先行提供する」と話していますが、具体的な時期は不明です。
使用回数に上限がある
GPT-4は、4時間ごとに100メッセージまでの回数制限が設けられています。3/21現在、3時間ごとに25メッセージに変更になりました。今後、需要によりさらに減少する可能性があるそうです。ちなみに、無料版のChatGPTでは、1時間に30回くらい会話したところで「Too many requests i 1 hour.」というエラーが出て使えなくなります。
GPT-4を使っていて使用制限になった場合、GPT-3.5も使えなくなります。対策としては少し時間を空けるしかないです。
画像での質問はまだできない
GPT-4の目玉でもある画像での質問ですが、まだその機能が見当たりません。OpenAIの研究者によると、画像質問機能を悪用される可能性があるため公開を延期したとのことです。画像に個人や個人情報が映りこんでいる場合に、それを学習したり、ChatGPTが既知の情報を返してしまう恐れがあるそうです。確かに、盗撮した画像をChatGPTに「この人の情報を教えて」と投げて、個人情報が返ってきたらプライバシーも何もありませんね・・・。
25,000文字程度の質問もできない
25,000文字程度のとても長い文章を入力しても、「文章が長すぎます」とエラーになりました。
まとめ
今回は、ChatGPTの新たな言語モデル「GPT-4」について、できることや使い方について解説をしました。まだリリースされていない機能もありますが、単純に性能だけ比較しても従来の「GPT-3.5」よりも精度が上がっており、より便利になった印象です。
次回以降の記事で、GPT-3.5とGPT-4の性能比較や、活用事例についてご紹介できればと思います。また、APIの順番待ちが回ってきたらそちらも使ってみたいです。
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