2023/2/11 9:55に、「新しいBing」の順番待ちが回ってきてフルアクセス版が使えるようになりました。
2月7日に「新しいbing」が発表され、私が順番待ちに登録したのが2月8日の17時頃だったので、2日ちょいで順番が回ってきたことになります。Microsoft社によると今後数週間のうちに使えるようになるとのことだったので「忘れた頃回ってくるんだろうなー」と思っていましたが、思いのほか早かったです。
(2023/02/26 23:00追記)
スマホでもBing AIが使えるようになりました。音声入力にも対応しています。
改めてフルアクセス版の「新しいBing」を使ってみて使用感を見ていきたいと思います。
1000文字までのクエリ検索
「新しいBing」では1000文字までの検索クエリを入力できます。入力中は他のメニューが不活性となり、Enterキーで検索実行となります。
せっかくなら今本当に知りたいことを聞いてみます。バレンタインが近いので、チョコケーキのつくり方を新しいBingに聞いてみます。
- チョコケーキのつくり方
- しっとり系
- 簡単に作れるもの
- ココアパウダーと粉糖なしで作れるもの
- 甘さ控えめ
という条件を盛り込んでみました。検索結果は以下のようになりました。
検索クエリに当てはまる結果が左側に、AIが生成したチョコケーキのつくり方が右側のチャット欄に、「他の人はこちらも質問」に類似の質問が表示されました。
検索結果に関しては、「チョコケーキレシピ〇選」など、まとめ記事が多いです。検索クエリに「チョコレートケーキ」「粉糖無し」「ココアパウダーなし」「甘さ控えめ」など複数の条件を投げたので、いずれかに合致することができるようまとめサイトが多く出ているのかなという印象です。
また、チャットがけっこう長めの文章を返してくるので、チャットの入力を待ちつつ検索結果欄を見るのが良さそうです。レシピサイトの記事やブログ記事など人間が作成した内容と、AIがインターネットのあらゆる情報を盛り込んで作り上げたレシピを比較しながら検討できるのはいいなと思いました。
(結局、卵と生クリームとチョコで作りました。しっとり濃厚でした!)
チャット機能
「新しいBing」は、ブラウザ検索にチャット機能が組み込まれています。チャット機能へのアクセスは以下の3通りで行うことができます。
1.トップページの上部メニュー>チャット
2.検索結果画面で上にマウススクロール
3.検索結果画面のチャットエリア>「チャットしましょう」を押す
チャットエリアにある「チャットしましょう」を押すとチャット画面が開きます。
チャット画面では、検索内容を保持していますので、チョコレートケーキで検索をした場合には、「卵を使わないで作る方法」とか、「かわいいラッピングのしかた」と投稿するだけで、チョコレートケーキを卵無しで作る方法やラッピング方法を教えてくれます。
指定したURL記事の要約機能
新しいBingでは指定したURL記事の要約をしてくれます。
要約機能の使い方
「新しいBing」には要約機能があります。チャット画面で要約してほしいリンクを貼り付けると、そのページの要約を返してくれます。
以下はWikipediaのChatGPTのページのURLを貼り付けて返ってきた結果です。
要約元のWikipediaの内容と比較してみると、要約のクオリティは60点くらいでしょうか。
この要約のクオリティ、要約してもらう記事によって大きく異なっていそうです。
要約のクオリティと正確性
参照サイトに間違った情報が含まれる場合
以下は先ほどのChatGPTについての要約です。
ChatGPTは、OpenAIが開発した対話に特化した言語モデルです
これ、Wikipediaに書いてある内容と異なります。
Wikipediaには、「ChatGPT(チャットジーピーティー、Generative Pre-trained Transformer)[1]は、OpenAIが2022年11月に公開したチャットボット。」とあります。ChatGPTは厳密に言うと「対話に特化した言語モデル」ではなく、言語モデルを組み込んだチャットボットです。なぜ、要約元のページとは異なる内容になってしまっているかというと、以下画像の赤枠部分に注目すると分かります。
「詳細情報」という欄にwikipedia以外のサイトのURLが表示されています。提示されているサイトのうちの一つを開いてみると、以下のようなタイトルになっていました。
記事の本文にも、「ChatGPTは~~な言語モデル」と説明されています。
このように、要約してほしい記事の内容だけでなく関連する記事の内容を盛り込んで要約をしているため、誤った情報が含まれてしまう可能性があります。まだニュアンスが微妙に違うくらいなら良いですが、明らかに数値が間違っているものもありました。
参照サイトが正しい記事のみの場合
続いて、「https://developers.google.com/apps-script/guides/web?hl=ja を要約して」とお願いしてみます。要約をお願いしたのはGoogle Workspaceのウェブアプリに関するページです。
すると今度は、全て公式(Google Workspace)のページを参照しており、要約された内容もけっこう要点を拾ってまとめてくれており、誤った情報も含まれていませんでした。
要約機能を使う上での注意点
いくつか要約させてみて分かったのは、
要約対象のURL以外のページの情報も盛り込んで要約が作成される
ということです。
例えば、「LUNA SEAは1989年に結成し、1992年にメジャーデビューした日本のヴィジュアル系ロックバンドです。RYUICHIのみ神奈川県大和市出身で、他の4人は神奈川県秦野市出身です。もともとは狂気という意味のLUNACYというバンド名でしたが、メジャーデビューを視野に入れたことと、音楽的にも『月のように変化があって、海のように深く』という思いから~CY箇所を~SEAに変更しました。これはベースのJの提案によるものです。」
という内容のページを要約させた場合に、
「要約:LUNA SEAは、1986年に結成したビジュアル系の人気バンドです。」と返ってきます。1986年となっていますが、要約元のページでは1989年となっています。
なぜ要約元にない情報が入ってるのか
この仕組みは、チャットボットが返してくるこの文言にヒントがあります。
どういうことかというと、「http://xxx/luna-sea/profile を要約して」とチャットボットに投げた場合、チャットボットは「該当ページの要約」と、「そのページの主題となるキーワード+要約で検索した結果」を返していると思われます。
検索結果に誤った情報が含まれている場合があるのはこのためで、「そのページの主題となるキーワード+要約」で検索をかけるときに、「LUNA SEA summary」のように、検索キーワードを英語名にして検索をしているため、外国のサイトの内容も含んでいる場合があります。
このようにして、URLを指定して要約させても、元ページの内容を改変したり追加した内容の要約が返ってきます。
つまり、要約のクオリティは、要約元以外のサイトの内容に左右されると言えます。
対策は英語で投げかけること
勝手に「キーワード+summary」で検索した結果を入れてほしくないときには、英語で要約してと頼むと解決できました。
日本版Bingは英語版に比べてチャット機能や記事の要約に少し劣る部分があるように感じます。なので、ちょっと怪しい動きしてるなという場合には英語版Bingで調べたり、英語で対話するなどして対応する必要がありそうです。
ChatGPTとの比較
「新しいBing」とChatGPTの比較は以下になります。
ChatGPT | 新しいBing | |
---|---|---|
言語モデル | OpenAI GPT-3.5 | OpenAI GPT-4.0 |
できること | 対話型チャット | ・対話型チャット ・1000字までの検索 ・指定したURL記事の要約 ・Edge Sidebarでの文書の要約 ・LinkedIn投稿内容の作成 ・ブログ文面作成 など |
参照元の表示 | × | 〇 |
アカウント登録 | 下記いずれかが必要 ・Googleアカウント ・Microsoftアカウント | 下記2つが必要 ・Microsoftアカウント ・フルアクセス版の順番待ち登録 |
料金 | 無料版/有料版(導入予定) | 無料 (有料版の発表は今のところなし) |
利用可能ブラウザ | すべてのブラウザ | Edgeのみ |
比較して見てみると、「新しいBingのほうが出来ること多いし良さそう」と感じますが、実際の使用感としては
- ChatGPTは開いたらすぐチャットできるが、「新しいBing」はチャット画面にアクセスするまでの手間がある
- 「新しいBing」は日本語フォントが変(スパムみたい・・・)
- 「新しいBing」はより詳しく回答が返ってくるが、その分時間がかかる
これらが少し気になります。特に、英語やプログラミングなどの勉強に利用する場合には、チャットに特化したChatGPTのほうが向いてるかなと思いました。逆に、論文やレポート、ブログを書く場合には「新しいBing」で参照元のページを合わせて確認しながら進めると正確性を保ちつつ効率的に作業できるのではないでしょうか。
「新しいBing」はどんな人におすすめ?
これらの内容を踏まえて、「新しいBing」はどんなときに使用すると良いのかをまとめると
論文やレポートなどの根拠に基づいた文章を書く場合
「新しいBing」のチャット応答文、要約内容には参照元のリンクがあり、それを見て正しい内容かを確認しながら利用することができます。
これは、論文やレポート、ブログなど正確性が求められる文章を作成する場合や、初学者の方が新しく知りたい内容があるときにおすすめです。
逆に、その分野にある程度精通している人であれば間違っている部分の判別がつくので、ちょっと知りたいことを聞きたいときにはChatGPTのほうが手軽で使いやすいかもしれません。
「検索力」に自信がない人
ネットで検索する際に、なかなか思うように情報に辿り着けないことってないですか?
プログラミングの勉強を始めたくて「プログラミング 初心者」と調べても、プログラミングスクールのサイト宣伝ばかり出てきたり、「ダイエット方法」と調べても、サプリメントやエステサロンの広告ばかり出てきたり・・・。
グーグルの検索エンジンで「Google検索」と入れると、サジェストの2番目に「Google検索 やり方 分からない」と出ています。
私の母(60代)も、パソコン検索に苦労してました。母曰く、
ネットで調べたいことはあるんだけど、何て聞いたら良いのか分からない
とのこと。誰かに質問するときだったら対話するなかでああだこうだ言いながら質問できますが、検索となるとある程度キーワードを明確にして聞かなければならず、「検索力」が必要です。
だからこそ、高齢の方やお子さんなど、「ブラウザ検索でどうやって聞いたら分からない」「何をキーワードにして検索したらいいか分からない」という場合に「新しいBing」のチャット機能を使うと良いのではないかと思います。
まとめ
「新しいBing」のフルアクセス版を使ってみて、ブラウザ検索で従来の検索結果とAIの答えが同時に見れるのは便利だなと思いました。また、ChatGPTでは見られなかった参照元を辿ることができるので、内容が正しいかどうかを確認したり、ソースを明確にしたりすることができて正確な情報を得られるのも良いポイントだと感じました。
ただ、どうしても英語版に比べると劣る部分があるように思います。そもそも日本語版のフォントがスパムじみているのが気になります・・
とはいえ、機能自体はとても便利ですので、ChatGPTと併用しながら活用していくと勉強や仕事に有効活用できそうです。
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