Googleは3月21日、かねてから発表していたチャットツール「Bard」を米国・英国限定で公開しました。
2023/04/19更新:日本でもBardを利用できるようになりました(英語のみ対応)
既に公開されているChatGPTやBing AIに後れをとっての公開となりましたが、Bardにはどんな特徴があるのでしょうか。今回は、Bardでできること、料金、順番待ちの方法などについて紹介したいと思います。
Bardの利用料金は?登録は必要?
Bardは、現在のところ公式から料金に関する情報は出ていないため、無料で使えるようになると予想されます。
登録については、Googleアカウントの登録が必要です。Googleアカウントをお持ちでない方は、「Googleアカウントの作成」から登録してください。
Bardの順番待ち登録の方法
Bardの利用には、順番待ち登録が必要です(Google Bard:https://bard.google.com/)。
現在、日本では順番待ち登録はできない
3/22現在、日本では順番待ち登録はできません。
ログアウトした状態だと登録ボタンが表示されている場合もありますが、その場合もボタン押下後に上記の画面に遷移し、登録は完了できません。
ちなみに、Microsoft社のBing AIは、順番待ち登録してから数日で使えるようになりました。Bardは順番待ちにどのくらいかかるのか明記されていません。しかし、Googleは既にBingやChatGPTから遅れをとっている状況なので、AI分野の支配を巡る競争に少しでも早く参入すべく、近日中にBardが使えるようになることを期待しています。
Bardでできること
Bardでできることを紹介します。
チャットと検索の両方を使える
Bardでは、チャット画面に「Google it」というボタンがあります。このボタンを押すと、Bardで質問した内容でGoogle検索できます。
BingAIでも、検索窓で入力した内容については、検索結果とチャットの両方を表示することができます。しかし、チャット画面から途中で「このチャット内容を検索して調べたい」となった場合、再度検索窓にその内容を入力する必要がありました。
Bardでは、会話の途中でGoogle検索することができるので、チャットと通常の検索の併用がより快適になるのではないかと思います。
一度に3つの回答例を提示
Bardでは、一度に3つの回答例を提示してくれます。例えば、以下のように「娘にフライフィッシングの方法を教えるのに良い方法を教えて」と質問すると、
方法が3パターン返ってきます。
例1では、「基本から教えましょう」、例2では、「楽しさを体感してもらいましょう」、例3では、「実際に池で練習してみましょう」と、3つの角度から回答しています。
BardとChatGPTとの違い
Bardは既にリリースされているChatGPTと何が違うのかを、分かる範囲でまとめました。
Bardは回答のソースを表示してくれる
ChatGPTでは、回答の根拠となるソースを確認することはできません。しかし、Bardでは「リソースへのリンクを提供するように努めている」とのことです。なので、現状としては100%ソースが表示されるわけではないけれど、極力ソースが表示されるようになっているようです。
ちなみに、BingAIであれば、ChatGPT有料版と同じGPT-4が搭載されている上に回答のソースも表示されます。BingAIとBardのどちらがより正確な情報をソースにできているか、注目です。
参考:Bard FAQ
2021年以降の情報も回答できる
ChatGPTでは、2021年9月までの情報を学習しているため、システムの最新バージョンや最近のニュースなどの質問に回答できません。一方、Bardには、「LaMDA(ラムダ)」という言語モデルが搭載されています。LaMDAは、インターネット上から情報を収集することができるため、最新の情報についても回答することができます。
プログラム生成だけでなくデバッグも可能
ChatGPTでは、プログラムの生成やリファクタリングをしてくれることが話題となりました。Bardでは、プログラムの生成はもちろん、デバッグも可能です。ただし、現在は「コーディングについて学習中」であり、プレビュー版では利用できません。
Bardを利用する上での注意点
Bardを利用する上での注意点は以下になります。
英語でのチャットが最も高精度
現在、Bardは英語のみ対応しています。また、英語をベースに学習しているため、英語での対話が最も高精度となります。現在、日本語は対応していませんが、できるだけ多くの言語に対応できるよう取り組んでいるとGoogleは述べています。
参考:Bard FAQ>How many languages does Bard support?
会話履歴の保存機能は制限されている
ChatGPTやBingAIでは、過去の会話内容を保持しており、「さきほどのソースコードについて詳しく教えて」というように過去のやりとりを参照することも可能でした。しかし、Bardは現状、会話の履歴機能は制限されます。これは「意図的に」制限しているとのことで、履歴の保存は少しずつ機能を拡充していくとGoogleは主張しています。
履歴は残らないようにすることも可能
基本的には履歴が残っていたほうが便利ではありますが、複数人でアカウントを共有している場合などチャット履歴を残したくない場合もあるかと思います。そのような場合、Bardアクティビティの保存をオフにすることで履歴を残らないようにすることが可能です。
参考:Manage & delete your Bard activity
Googleに収集される情報
Bardでチャットする際、以下の情報が収集されます。
- IP アドレスに基づく位置情報
- ユーザーからのフィードバック
- ユーザーの使用情報
機密情報はチャットで送らないよう注意する
Bardに限った話ではありませんが、チャットで質問する際には機密情報を含まないよう注意が必要です。機密情報を学習したAIは、別のユーザーが質問した際にその情報を教えてしまうかもしれません。
ソースコードにAPIキーがハードコーディングされている場合はマスキングしたり、表を送る場合には個人名や企業名が含まれていないか気を付けるなど、細心の注意を払って利用することが大切です。チャットサービスを使う上での注意点については、以下の記事をご参照ください。
誤った情報を堂々と返してくることがある
Bardは、ネットの情報をもとに回答を生成しています。そのため、フェイクニュースや人々の固定観念などを含む回答が生成されることもあり、誤った情報を堂々と返すことがあるとGoogleは注意喚起しています。
先日発表されたChatGPTの新しい言語モデル「GPT-4」では、誤情報を返す確率が従来モデルと比較して格段に減り、ユーザーが作り上げた架空の質問に関しては「そのようなものはありません」と答えられるようになりました。正確性を求めるなら、GPT-4を使用したほうが良いかもしれません。
まとめ
今回は、Google社のチャットツール「Bard」について紹介しました。まだプレビュー版のみの公開で、機能も制限されているので全貌は分かりませんが、やっとGoogleが対話型AIをめぐる競争に追いついたといったところでしょうか。
個人的にはGPT-4の性能が従来のGPT-3.5と比較してかなり良くなっているので、Bardの操作性やレスポンスの速さ、性能がChatGPTより優れていない限りはメインで活用することはないかもしれないなと思っています。ただ、普段Google検索を使っている身としては、Bingのようにブラウザとチャットが一体型になっているとかなり便利そうだとは思いますが・・・。
とにかく、日本でも早く使えるようになってほしいですね!
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