今回は、2022年11月に公開されてから何かと話題を集めたChatGPTについて、この1年でなにがあったのかを時系列でまとめていきたいと思います。
リリース日は2022年11月30日
OpenAIは、2022年11月30日に対話型AIチャットサービス「ChatGPT」をリリースしました。
以下は、Googleトレンドの人気動向ですが、リリースと同時にヒットしたわけではありませんでした。
2023年2月、人気に火がつく
最初の山はというと、2023年2月ごろです。このころ、X(Twitter)やブログ等で話題になり始め、ChatGPTを使う人が激増しました。
当ブログにおいても、はじめてChatGPTの記事を執筆したのは2023年2月7日です。
Bing AIの登場によりChatGPTブーム到来
Microsoft社は2023年2月7日に、OpenAIの言語モデルを搭載した検索エンジン「新しいBing(現 Bing AI)」を発表しました。公表当初は、「順番待ち」登録が必要で、すぐには使えませんでした。
筆者の環境では、2023/2/11に順番待ちが回ってきて、フルアクセス版が使えるようになりました。
Microsoft Edgeの検索エンジン「Bing」に搭載されたAIチャットとして、人気を集めました。
3月、APIの登場
2023年3月1日に、ChatGPTのAPIが提供開始されました。リリース当初のモデルは「gpt-3.5-turbo」でした。ちなみに2023年12月25日現在の最新モデルは「GPT-4 Turbo」です。
当初は、「体験版」として18ドル分のクレジットが付与されており、18ドルまでは無料で利用することができました。現在は、体験版ではAPIを使うことができず、有料版への登録が必要で、料金は従量課金制です。
ChatGPTのAPIが登場したことにより、個人・企業から様々なサービスが誕生し、ChatGPTがより話題を集めていきました。
拡張機能も登場し、より便利に
また、2023年3月以降、Google Chromeの拡張機能も登場しました。
Google検索にChatGPTを表示する「ChatGPT for Google」、SEOやプログラミングに最適化したチャットボットを実現する「AIPRM for ChatGPT」、ChatGPT×スプレッドシートでリサーチを自動化する「GPT for Sheets」など、便利な拡張機能が次々にリリースされました。
「プロンプトエンジニアリング」も広まっていった
このころから、「プロンプトエンジニアリング」という言葉も広まっていきました。
当時、ChatGPTのモデルは「GPT-3.5」しか使えなかったので、応答のクオリティが低かったり、ハルシネーション(嘘をつく)こともあり、「ChatGPT使えない!」という声も耳にすることが多かったように思います。
それとともに、精度の高い応答を得るには質問する質も重要!というプロンプトエンジニアリングの考えも広がりました。
3月15日、GPT-4がリリース
2023年3月15日、次世代の言語モデル「GPT-4」を発表しました。従来のモデルであるGPT-3.5と比較して、対応できる単語数が約8倍に増え、事実に基づく回答である確率が40%高まりました。
GPT-4登場に伴い、Web版のChatGPTは月額20ドルの有料版が誕生しました。
4月、ChatGPTの人気がピークに
2023年4月9日~15日の間が、ChatGPTの話題度がピークの期間となりました。
このころ何があったかというと、特段新しい機能が追加されたりはしていないのですが、テレビや雑誌などのメディアが取り上げるようになり、ITに詳しくない人の間にも「ChatGPT」という単語が浸透するようになりました。それもあって、検索ボリュームが増えたことが予想されます。
4月19日、Google Bardが利用可能に
ChatGPTに対抗するかのように、4月19日にはGoogleから生成AI「Bard」がリリースされました。
Bing AI同様、ブラウザ内で使うことができ、ChatGPTと異なる点として「応答文の引用元が明確である」というのが特徴です。ただ、すでに盛り上がりを見せAPIも利用できるようになっていたChatGPTに比べると、Bardの話題度はそこまでではなかった印象です。
「AIが書いた文章か」を見抜けるかが話題に
このころから、「AIが書いた文章かどうかを判断できるかどうか」が話題になるようになりました。
OpenAIからも、「AI Text Classifier」という、AIが書いた文章かどうかを判定するツールが公開されました(現在は利用不可)。他にも、「GPT kit」などChatGPT以外からもAIテキスト判定ツールが登場しました。
4月、GPT-4のAPI登場
2023年4月には、GPT-4のAPIが登場しました。リリース当初は、順番待ち登録が必要でした。
ただ、GPT-3.5のAPIよりも割高で、応答文の上限を設定しておかないとコストがかかるという難点がありました。
4月28日、OpenAI Playgroundがリリース
2023年4月28日は「OpenAI Playground」がリリースされました。
OpenAI Playgroundは、自分で一からAPIのプログラムを書かなくとも、画面上で引数などの設定が視覚的にでき、気軽にAPIを試せるツールとなっています。
こちらも開始当初は無料クレジット分で利用できましたが、現在ではAPIの有料版を登録していないと利用することができません。
6月「ChatGPT 飽きた」の声増える
以下は、「ChatGPT 飽きた」と検索された数の推移です。(使用ツール:Googleキーワードプランナー)
Twitterのツイートでも、「ChatGPT飽きた」という声が見られ、Yahoo!リアルタイム検索ではサジェストにも表示されていました。
とはいえ、以下記事でも考察した通り、エンタメとしてChatGPTを楽しんでいた層に飽きられただけで、仕事やプログラミング等にChatGPTを取り入れている方からは変わらず支持されていたように思います。
7月、Code Interpreterが登場
世間に「オワコン」と言われつつも、ChatGPTは進化を続けます。2023年7月には「Code Interpreter」という、ファイルをアップロードしてグラフ化・分析する機能が追加されました。
以下のような表をアップロードし、
グラフを書くよう指示すると、
以下のようにグラフを生成することが可能となりました。
詳しい使い方については、以下記事にて解説しています。
9月、画像・音声認識機能が登場
2023年9月25日には、画像認識機能と音声認識機能が追加されました。
画像を添付してプロンプトを送信すると、その画像を指示した内容で加工してくれたり、音声認識機能ではまるで会話するかのようにやり取りができるなど、また一段とChatGPTがパワーアップした印象を受けました。
11月、オリジナルGPTを作れる「GPTs」を発表
2023年11月には、オリジナルのChatGPTを作ることができる「GPTs」を発表しました。
【ChatGPTの新機能「GPTs」がすごい】
・ノーコードでボットが作れる
・BOTは共有可能 (限定公開も可)
・公開したボットは使用された回数によって収益が発生
※今後数か月以内に開始予定以下は試しに作成した、
「キーワードを入力するだけで
ダックスフンドの画像を生成してくれるボット」
です🐶 pic.twitter.com/l6lmZWe5PN— prtn-blog / 技術ブログ (@prtnblog_info) November 11, 2023
プログラミング等の特別なスキルは必要なく、従来のChatGPTとチャットをするなかで、目的に応じて機能をカスタムしていくことができます。
作成したGPTsは専用のストア「GPTストア」内で共有できるようになります。当初、11月下旬にオープン予定でしたが、来年1月のオープンとなりました。
公開したボットは、使用した人の数に基づいて収益を得ることができるようになるとのことです。
11月17日、サム・アルトマンCEO解任騒動
ChatGPTの開発元として知られるOpenAI社は、2023年11月17日、サム・アルトマンCEO(最高経営責任者)が辞任することを発表しました。
結局、アルトマンはOpenAIのCEOに復帰することとなりますが、この騒動によりGPTストアのオープンは先述のとおり延期となりました。
そして現在・・・
そして現在、2023年12月25日。
特に目立ったニュース・リリース等はありませんが、人気度としてはやや上昇傾向となっています。やはり収益化が狙える「GPT Store」のオープンが近いからでしょうか。
まとめ
今回は、2022年11月に公開されてから何かと話題を集めたChatGPTについて、この1年でなにがあったのかを時系列でまとめました。
当ブログでも、ChatGPTで新しい技術が発表されるたびに記事にまとめてきましたが、この1年間を振り返ってみると3-4月あたりの盛り上がりようは凄まじかったなと感じます。ただ、爆発的なブームは過ぎ去ったとはいえ、ChatGPTは各企業や行政の場など活用のシーンは広がりを見せており、ChatGPT APIを活用した様々なサービスが登場しています。
そして、GPTsの登場により、誰もが簡単にオリジナルのChatGPTを作り、収益化できるチャンスの場が生まれました。ChatGPTの登場で、わたしたちの日常には、人によってその影響度は異なるものの、多かれ少なかれ変化があったと思います。
そんな、「生成AI元年」ともいえる2023年を、リアルタイムで見ることができて楽しかったです。今後さらに、ChatGPTをはじめとする生成AIが進化していき、我々の日常に変化をもたらしてくれることを期待したいと思います。
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